私たちの生活にあまりにも身近な、”水”
その水の不思議さ、”水の科学”について、
★”水の科学”から視る!化粧品で保湿ができる訳とは?(前編)
で触れてまいりました♪
H2Oという超小さい分子が、100℃まで熱さないと気体にならない訳。
南極にあるような大きな氷の塊が、何故か海に浮いている訳。
全て水の”水素結合”という力で説明ができました^0^
補足しておきますと、水素結合は水だけにある結合ではありません👀
ただ、水のように全身が水素結合部位みたいな分子は珍しいです(笑)
私が学生時代に研究していた”超分子”という超マニアックな分野では、
(化学やってた人でさえ、「高分子?」といいますが、違うのです(^^;))
水素結合を始めとした分子間相互作用を制御して、特異な構造の分子集合体を構築する研究でした!
簡単に言うと、水素結合(等)を利用した分子のレゴみたいな感じです。
ーOHという置換基は水素結合をすることができる部品の代表で、
水は水素結合をする最小分子と言えますね^^♪
〇”保湿をする = 水素結合をする”??
”保湿”には2種類があって、
一つが油、或いは油に似た成分で蓋をすること
もう一つが水を留めておくこと
とまで申し上げました^0^
実は、後者の保湿メカニズムは、水素結合が大きく関わっています。
例えば、保湿成分の中には、糖類が含まれていることがあります。
こちらはオラージュ リッチフォーミュラという化粧水・美容液の全成分表示ですが、
デキストリン、デキストラン、スクロースはそれぞれ糖の一種。
スクロースは私たちが最もよく使うお砂糖の主成分です^^
化学構造は、こんな感じ
この中に、水も持っている-OH基は…
こんなにあります^0^
ここに水がやってくると、水素結合によってキャッチされるのです。
構造式だとなかなかわかりにくので、こんな実験をしてみましたよ^0^
まず、砂糖と塩を、小さじ一杯ずつ用意します!
こんな感じ^^
本当は同じ重さで用意したかったのですが、
我が家には精密はかりがないため、悪しからず(- -;)
ここに、水を小さじ一杯ずつ、投入します!
砂糖は溶けましたね!
塩は一部溶け残りがあります。
実は、この時点で実験失敗したなーと思ったのですが(^^;
まぁ感覚的にわかればいいかと続行💦
もし水素結合をしそうな砂糖が水をキャッチしていれば、
このままずーっと置いておいても、元のサラサラ状態には戻らないですよね。
お塩、つまり塩化ナトリウムは、
構造式ではNaCl と現せるのですが、水素結合はしなそうですね。
水が蒸発したら、元の固体に戻るはずです。
ところが!
自分でも先日の記事で「水は分子量小さいのに簡単に気体にならないの☆」なんて言ってたくらいですから、
小さじいっぱいの水、揮発するわけないじゃないですか💦笑
いやー、痛恨のミス!💦
という訳で、気を取り直して熱で水を揮発させました^0^💦笑
同じ時間加熱しているのに、
右側の塩の方だけ、どんどん固体が析出します!
途中で塩が入ったアルミに穴が開いてしまったので実験は中止(>_<)
最後に残ったのは、こちら^^
お塩は水だけ蒸発し、白い固体が残りました!
お砂糖はねばねばとしている様子から、
水素結合に使われていない水だけが蒸発し、砂糖に引き寄せられている水が残っていることが推測できます。
化学用語では、
蒸発してしまった、自由に動き回れる水を「自由水」と言い、
何かによって自由を奪われている水を「結合水」と言います。
前回お示しした氷の図を思い出して頂くと、
サントリーHP より引用
https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/science/01/
水は氷になるために立体的な水素結合をしなければいけないので、
結合水=不凍水とも言われます。
実は、肌の最表層にある角層中の25%の水分が結合水(不凍水)なのだそうですよ^0^
スキンケア化粧品の保湿剤は、
お砂糖のように水をゆるーく引き寄せる性質のある成分です。
保湿剤として有名なヒアルロン酸は”ムコ多糖”と言われ、こんな構造をしています^0^
ヒアルロン酸構造式
“n”は、数字が入るのですが、”何個もつながっているよー”と言っていると思ってください^_^
さっきまでのあなたが見たら「???」でも、
今なら「水をいっぱい掴みそう!」と思えるのではないでしょうか?^0^
よく見るお化粧品の保湿剤で気になるものがあったら、
『〇〇 構造式』
と調べてみてください♪
苦手意識のある化学が、ちょっと身近に思えるはずです^_^♪
スキンケアと、切っても切り離せない”水”
スキンケアをしているとき、お肌の中で何が起こっているのか?
水という、不思議な物質がもたらした保湿のメカニズムについて、
少しでもイメージが湧けば嬉しいです♪