大気汚染(PM2.5), 紫外線、ブルーライト、赤外線…肌をとりまく環境要因は一括でケア!

肌を取り巻く環境要因は幅広く、紫外線に加えて大気汚染、ブルーライト、近赤外線などなど…
これらの対策を謳った化粧品は非常に多いですが、実際の影響はどうなのでしょうか?
ケアをすることは大切ですが、ダメージを恐れて楽しみを減らしてしまうのは本末転倒です。

本日は、岡部美代治さん主催 ビューティサイエンスセミナー「環境要因と美肌ケアの科学」に参加して参りました!

いつものことながら、岡部さんの知見がぎっしり詰まった2時間のセミナーを全てお伝えするのは難しいので、
私の感想がてら印象深かった内容をシェアさせて頂きたいと思います。

1.肌をとりまく環境要因

私たちは様々な外部環境に晒されながら生きています。
肌、特に「顔」について意識をすると、室外関係なく年中露出した部位です。
その事実は人間がホモサピエンスとして誕生した時から変化無く、この地球上に生き続けているということになります。

まずはっきりと言えることは、我々人間は様々な外部環境に対応して生き抜く能力を既に持っているということです。
この点については、後述しますね。

肌が露出している以上、直接の接触吸着吸収することによって肌は何かの影響を受けます。
代表的には、
紫外線可視光線(ブルーライト含む)赤外線などの太陽光
大気汚染物質生物由来物質(花粉、ダニ、動物のフケなど)
・衣類や寝具などの湿潤環境内の微生物や、嗜好品であるタバコなど
が挙げられます。

この中でも、今回は太陽光と大気汚染についての詳細を述べてみたいと思います。

1-1.太陽光について

太陽光とは、その名の通り太陽から降り注ぐ光線の一切を指します。
中でも地表に届くのは紫外線可視光赤外線と言われているものです。

https://slism.net/beauty/how-to-select-parasol.htmlより引用

紫外線の中でも、波長の短いUV-Cと言われる領域や、UV-Bの一部地表へ届く前に成層圏やオゾン層で散乱・吸収されてしまいます。

このように太陽光の有害波長から守られている地球では、多様な生物が生活しています。
または、地表に届く波長に耐えうる生物のみ生き延びていて、光に弱い生物はトンネルの中で過ごすなどの工夫をしています。
UV-Cは非常にエネルギーが強く殺菌能力があるため、殺菌灯に使用されています。
”菌”の細胞を破壊してしまうほどエネルギーが強いため、我々の肌が浴びたら直ちにただれてしまうでしょう。

このように、波長の短いもの程散乱しやすいため、UV-Bは表皮までUV-Aは真皮まで届き、より可視光に近いブルーライトも真皮へ近赤外線は皮下組織にまで届き、影響を及ぼすと言われています。
太陽光における安全領域は狭くなっていっているそうです。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO15596280R20C17A4000000/より引用

 

環境省によると、オゾン層破壊の科学環境アセスメント2002では南北南半球の中高緯度で、紫外線量は20年で6~14%増加したと報告しているそうです。

「環境省HP」https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdfより引用

ところが、オゾン量が最も少ないのは1990年だそうで、それ以降も紫外線量が増え続けていることから、紫外線量の増加がオゾン層の変動とは言えないというのが実態のようです。

 

1-2.大気汚染物質

大気汚染物質といっても、その成分は非常に多様です。しかも、その中には火山灰由来などの自然的に発生したものも含まれます。
大まかな分類で言うと、「古典的大気汚染物質」「有機物」「無機物」に分けられ、その中でも発がんリスクの有るもの、無いものと分けられるようです。

特に、私たちがよく耳にするPM2.5は意外にも古典的大気汚染物質」に含まれます
火山灰や焚火のススなど、これまでも共存共栄していた物質なのです。

PM2.5とは、正式には「粒子径2.5µmで50%の捕集効率をもつ分粒装置を通過する微粒子」だそうで、
要は2.5ミクロンくらいのフィルターに引っかからずに通過した粒子の総称です。

良きも悪きも、この定義に引っかかるものは全て”PM2.5”として一括りにされてしまうようです。

ですから、日本のPM2.5と中国のPM2.5、台湾のPM2.5は質が違う可能性があるということです。
この粒子径の物質は、吸い込んでしまうと肺の奥まで入ってしまって排出が困難であることから、肺ガンや喘息の原因になると言われてます。

大きさとしては、髪の毛の径が70µmに対し、スギ花粉が30µm, ダニのふんが20µmですから、確かにとても小さい物質であることがわかります。

https://style.nikkei.com/article/DGXDZO69380170U4A400C1W13001/より引用

確かに、吸引しない方がよさそうなことはわかりましたが、PM2.5は肌に付くと本当に悪影響なのでしょうか?

大気汚染物質の肌への影響の可能性としては、
1.アレルゲンや刺激物質として肌細胞を直接刺激する可能性
2.紫外線やフリーラジカルと複合反応したり、アミノ酸、有機酸、糖類、脂質などと反応して刺激物質をつくる可能性
この二つが挙げられるそうです。

なるほど、反応性の高い物質が吸着すれば何かの反応は起こるかもしれません。

一方で、先ほども述べた通り、”PM2.5”は発生環境によって含有物質の分布が異なると考えられます。
日本においては都心部に多く発生しており、工業が盛んな太平洋ベルト沿いにPM2.5の発生量が多い傾向があります。

PM2.5 大気汚染 PM2.5全国分布

https://www.env.go.jp/air/%20air/osen/29taikiosen.pdfより引用

この時点で、人口過多である東京の空気の質と、産業スモッグが発生する太平洋ベルト沿いの空気の質大きく異なることが予測できます。

この異質のPM2.5全てにおいて、「肌に悪い」と決めてしまうのはいささか乱暴なように感じます。
ましてや、皮膚は呼吸というものを殆どしておらず、吸収器官というよりは排出器官&防御機能がメインであるため、経皮による影響は小さいように思います。

そして、これは大変意外だったのですが、日本においてはPM2.5濃度がここ10年で殆ど変わっていないということです。

それどころか、中国は5年間でかなりの減少傾向です。
市場では大気汚染対策商品が多く出回っているところですが、何やら杞憂のようにも感じられるグラフでした。

 

2.環境要因から肌を守るには

紫外線や大気汚染の実態を把握した上で、「美肌ケア」のためには何ができるのでしょうか?

2-1.太陽光から肌を守る

”紫外線対策”ではなく”太陽光対策”と題したのは、ブルーライト近赤外線の話題も無視できないためです。

2-1-1.ブルーライト対策のススメ

正直、ブルーライトが肌へどれだけ影響するかは、私自身実感がありませんし、研究としての情報が少ない印象です。

もともと、ブルーライトは”目への影響”で着目された光線です。
ブルーライトとは波長が380-500nmの青色光のことで、紫外線と可視光線の間の領域にあります。
紫外線のほとんどは角膜と水晶体で吸収され網膜まで届きませんが、ブルーライトは網膜まで届いて(青色ですからね!)睡眠障害や目の疲れなどの様々な影響を引き起こすということから、ブルーライト対策ブームが到来しました。

そこで、LANCOMEさんを筆頭にして化粧品業界でも対応商品が増えてきた訳ですね。
ブルーライトによるフリーラジカル発生の実証実験もあるようです。
Free Radic Biol Med. 2017 Mar 15, 108:300-310

地上波で最もエネルギーの小さい近赤外線でさえも肌ダメージになると言われているくらいですから、
紫外線との間にある可視光が何らかのダメージ要因になってもおかしくはありません。
(紫外、赤外というのは人間が目に見えない都合で勝手に区切った領域なのです)

知られざるリスクを見つけることは大切です。
しかし、全てのリスクに目くじらを立ててガードすることは、楽しくありません

例え紫外線であっても同様です。
ダメージの強さを避けるのは大切ですが、大好きな旅行ができなくなってしまっては人生が楽しくありません

そこで、岡部さんが仰っていた言葉がとても素敵だなぁと思いました。
生物はダメージを受ければ”修復”をする。」
太陽の下の地球で生き残ってきたことが、何よりの証拠なのです。

私は、紫外線よりも明らかにエネルギー量の小さいブルーライトや赤外線は、正直あまり気にせずに過ごしています。

とにもかくにも対策するもよし。
先行研究が増えるまで見守るもよし。
修復機能を頼りに生活リズムを整えたり栄養のある食事を摂るもよし。

ブルーライト対策については、心の負担にならないケアを選択することが重要なように思います。

2-1-2.日焼け対策のススメ

さて、明らかにダメージが大きい紫外線。どのように付き合っていけばいいのでしょうか?

”紫外線量”といってもピンと来ないかと思いますが、気象庁が出している”紫外線インデックス”というものがあり、お天気予報でも下記の基準を見ながら判断されているそうです。

「気象庁HP」より引用https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/chishiki_fig/kankyo_syo.png

岡部さんの時計は、この紫外線指数が測れるらしく(!)この数値を見て、お散歩の出る時間を見計らっているそうですよ^^
私もランニングをよくするので、紫外線インデックスを気にしてみようと思います✨

もちろん人には都合があるので、紫外線インデックスが高い時も外出せざるを得ない時があるはずです。

そのような時は、日焼け止めに頼ることにしましょう!
日焼け止めの塗り方や選び方はコチラの記事をご覧ください^^
★紫外線に負けない、色白肌へ!「正しい日焼け止めの塗り方」編

最近のUVケア製品の傾向としては、SPF / PA値に加えて”膜の持続性”が重視されているそうです。
特に、花王 ビオレUV アスリズム エッセンス「最強のUVカット被膜」を謳っていて、

肌に負担感が無い上にせっけんで落ちる過酷な環境下のアスリートでも安心して使える被膜力を連想させるネーミングがかなり印象的です。
岡部さん談では使用感もいいそうで、次回のフルマラソンで使用するミッションを頂きました。笑 真夏を避けて挑戦しようと思います♪

それにしても、私が小学生くらいの時は使用感の良い日焼け止めが無く(あったかもしれないけど知らず)、
母の勧めた化粧品の匂いのする色付き日焼け止めが嫌で、紫外線をしっかり浴びて過ごしてきたので、後悔がいっぱいです(´;ω;`)

是非、お子さんがいらっしゃる方には現代の使用感の良い日焼け止めを、小さい頃から縫って差し上げてくださいね。

 

2-2.大気汚染物質から肌を守る

大気汚染対策とは、具体的には何ができるのでしょうか?

一つは、直接肌に触れさせないこと
これは、化粧膜を肌に均一に塗布することによって実現可能です。
資生堂 d プログラム アレルバリア シリーズ 「アレルゲンバリア」は、膜の均一性を謳った大気汚染コスメの一つです。

二つ目は、大気汚染物質によって引き起こされたダメージに対しての抵抗です。
例えば、フリーラジカルを消去する抗酸化剤や、肌荒れ防止の抗炎症剤など。
実は、このアプローチは美白ケアとよく似ていて紫外線によって引き起こされるトラブルの対処法と同様なのです。
また、美白系コスメではなくても、非常に多くのコスメに抗酸化剤と抗炎症剤は配合されています。
注意点としては、薬機法の関係で「抗酸作用」は化粧品として謳うことができないため、自身で見極めが必要です。

超有名な抗酸化成分としては、ビタミンC誘導体があります。
ビタミンCとは正式名を「アスコルビン酸」と言うので、「アスコルビン酸~」「アスコルビル~」と書いてあれば、これは抗酸化作用が期待ができます。

ほかにも、アスタキサンチンフラーレンビタミンEカテキンなどの種種アルカノイドなどなど、抗酸化剤はたくさんあるので“抗酸化剤 化粧品成分”で検索してみてください!

三つ目は、肌そのもののバリア機能を高めること。すなわち、保湿です。
繰り返しになりますが、生物はダメージを受けることもあるが修復機能も持っています。

ダメージの知識ばかりが増えれば、確かに知らず知らずのうちの肌劣化が怖くなります。
しかしながら、そもそも化粧品は肌が健やかであるために手助けしてあげるもの

スキンケアで肌の機能を保つことによって、修復機能を正常に保ち、様々なダメージに耐えうる肌を守ることが出来るのです。

確かに紫外線は、明らかにエネルギーが大きく日焼け止めなどでの対策が有効です。

一方で、十数年単位で変動が無く、正体や影響度の不明な大気汚染と闘う姿勢を持つよりは、
従来の化粧品を信じてしっかりケアをしてあげることが大切なのではないでしょうか。

3.印象の変化

大気汚染コスメブルーライト対策コスメが市場にあったことは知っていたものの、私は大して興味をたずに過ごしてきました。

ブルーライトって、可視光でしょ?いちいち気にしてたら色彩が楽しめなくなるんじゃない?
大気汚染が外ならば、触れさせないことが一番。既にベースメイクで保護膜を作っているじゃない。
大気汚染を無害化するほど反応性の高い成分があるなら、肌との反応も無視できないはず。それは付けたくない。

こんな印象が正直でした。

今回のセミナーを聞いても、大気汚染や種々の光線ダメージなどの新しく台頭したトラブル要因は、取沙汰して問題視するものでもないように思います

一方で、紫外線については非常に広範な研究がなされており、商品開発も成熟しています。
効率的な紫外線対策法や、肌にダメージをできるだけ与えないサンケア材が存在するため、
生活スタイルや嗜好に合った対策をチョイスすることができるでしょう。

通常のスキンケアとベースメイクアップで保湿&UVケアをすれば、種々の環境要因対策になり得ります。

その中で、いかにケアを楽しみ、肌を健やかに保つことができるか。そんなことを、現代の環境要因対策として着目してみませんか。

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