髪の基礎知識 |毛髪構造から視るヘアダメージの原因とは?

枝毛や切れ毛、紙のパサつきなど、いつの間にか現れるダメージ毛。
実は、髪を補修をするイメージのシャンプーやトリートメントも、毛髪ダメージを進行させる行為の一つです。

毛髪ダメージの真因を知るためには、毛髪構造の理解が必須です。

以下は、ビューティサイエンティスト 岡部美代治さん主催のビューティサイエンスセミナー「ヘアケア技術の最新動向」で得た知見と、私の知見とを合わせた内容になります。

1.毛髪の全体像

ところで、毛髪はどこから生えてきているのでしょうか?
目視すると皮膚からにょきにょき生えているようですが、よく見るといくつもが開いていていて、これを『毛穴』というようです。

皮膚の断面構造を見てみると、実は毛穴の始まりは非常に奥深くにあります。

https://blog-imgs-71.fc2.com/d/e/p/depibible/img_hair.pngより引用

毛根は、皮膚の最外層である「表皮」よりも奥にある「真皮」に存在しています。
毛根では毛母細胞細胞分裂をすることにより毛の素を作るため、
栄養を受け取れる=血管が通えるほど深い必要があります。

「毛根はどこにあるのか?」を覚えるときには、
「表皮には血管が通っていないから、真皮!」と関連付けましょう。

同時に、皮表に出ている部分の毛(毛幹)は、栄養を受け取る器官が無く、自己修復機能を持っていないことが分かります。

”髪は死んだ細胞”とよく言うのは、このためです。

余談ですが、毛髪は1日に約0.35mm伸長すると言われています。
人種によって異なりますが日本人の頭髪は平均で10万本程。
単純計算すると、頭皮は1日で35mの髪の毛を作っていることになりますΣ(゚д゚lll)
ものすごい勢いですよね😨

成長と退行期を繰り返すヘアサイクルについては考慮していませんが、
生命って本当にすごいなぁーと感心させられます!

2.毛髪構造は三層の海苔巻き

毛髪殆どがタンパク質からできています。
毛髪を輪切りにしてみると、大きく3つの層から構成されていることがわかります。

http://ikumou-matome.com/sikumi.htmlより引用

岡部さんに倣って、わかりやすく”海苔巻き”に例えてみることにします^0^

【毛髪(海苔巻き)の構造】

  • キューティクル:毛小皮(海苔)
  • コルテックス:毛皮質(シャリ)
  • メデュラ:毛髄質(具:きゅうりやマグロなど)

断面図を見てみると、本当に海苔巻きですよね!
ちょっと具が少なくて、ごはんばかり。カロリー高めな海苔巻きです。

2-1.メデュラの構造

具材であるメデュラは、やわらかいたんぱく質からできていますが、外的刺激で空洞ができやすいのだそうです。

実は、メデュラは毛髪によってあったりなかったりして、具無しのりまき状態もあるそうです。
その役割はイマイチ不明で、わかっていることが少ないのだとか。

ところで、毛髪は重金属や覚せい剤など(!)の排出機能があります。
メデュラは他の部位よりも金属が多く含まれることから、不要物の排出部位であるかもしれませんね^^
また、羊やシロクマの毛メデュラが太いことから、空気を蓄えることによる断熱機能もありそうです。

ちなみに、白髪のキラっと見える部分は、メデュラの空洞部分光沢となっているのだそうですよ!

メデュラのダメージ要因

メデュラ自体がダメージを受けることはあまりなさそう。

2-2.コルテックスの構造

海苔巻きのご飯粒に値するコルテックス
毛髪の三層構造の中で、コルテックスが最も複雑な構造をしています( ..)φ

ご飯粒といっても、タイ米のような長細い形をした、繊維状のタンパク質が主成分の細胞群です。
そしての断面を切ってみると、何やらずるずるとたくさん出てきます!💦

http://fits-web.com/staffblog/wp-content/uploads/2014/04/img_k.pngより引用

コルテックスを解いて解いて解いて解いて解いてみましょう。

α-ヘリックス構造という螺旋構造のタンパク質が絡みあって束となり、ミクロフィブリルを形成しています。
ミクロフィブリルをマトリックスが取り囲んで一まとめし、
さらにそのマトリックスをマクロフィブリルが一まとめし、
マクロフィブリルをまとめているのがコルテックス細胞という構造になります💦

覚えられませんね!笑

このタイ米のようなコルテックス細胞を取り囲む皮のようなものを細胞膜複合体(CMC:Cell-matrix adhesion Complex)といいます。
のりまき in のりまき in のりまき in のりまき….みたいな超複雑な構造をしています(;_;)

ここで覚えて頂きたいのは、一つ一つの名称なんかではなくて、
毛髪は細長い物質がよりに寄り集まった丈夫な細胞であるということ。

これだけ繊維状の細胞が集められていれば、引っ張っても簡単には千切れなそうですよね!
髪は10本で1.5Lのペットボトルを持ち上げられるほどの強度なのだそうです。

一方、縦に割かれるような力には弱いことも想像がつきますね。

さらに、このコルテックス細胞は色素であるメラニンも保持していて、水や油分を保持する部位でもあります。
つまり、コルテックスがギュギュっと詰まっていると、健康なコシのある髪となる訳です。

細かく解説するとコルテックスにも種類があるのですが、長くなってしまうのでこちらをご参照ください。

くせ毛の原因はオルトコルテックス&パラコルテックスの分布の差だった!(リライト中)

‎2-3.コルテックスのダメージ要因

①アルカリ

ところで、このコルテックスを囲んでいたCMCですが、構成成分はタンパク質43%, 脂質57%
脂質の殆どが、肌の保湿成分でもお馴染みのセラミドからできています。
正確には、肌にあるセラミドとは形が異なるため、液晶構造(ラメラ構造)は取らず、もっと硬いのだそうですが、
お肌と同様に髪の中に水と油をキープするために重要な成分です。

CMCが壊されると髪は構造的に弱く脆くなってしまいます

脂質の組成が多いCMCが苦手とするのは、アルカリです。
パーマ剤やカラー剤はCMCを溶かしながら浸透していくため、大きなダメージ要因となるのです。

②熱

コルテックスの組成の殆どはタンパク質であるため、熱に弱いという特徴があります。

想像しやすいのは「卵」。
ゆで卵は熱で固化すると再び元の生卵に戻ることはできません。

毛髪の場合、100℃以上になると、アミノ酸 シスチン減少し、毛髪内部のタンパク質部分的に変性し、空洞化を引き起こします。

さらに160℃以上の処理コルテックスの繊維構造が変性弾力が低下します。

アイロン等を使用する時は、少なくとも160℃以下で出来るだけ短時間で仕上げるのがよさそうです。

ドライヤーの場合、10cm以上離していれば90℃までしか上がらず、
濡れている髪の場合は60~70℃までしか表面温度は上がらないのだそうです。(2)

しかし、湿度97%の毛髪60℃からケラチン変性が始まるとも言われているため、(3)
乾かし始めは特に低温が良いでしょう。

一か所に熱風を当て続ければ水が乾き、熱がこもりやすくなるため、ドライヤーは必ず振りながら使用しましょう!

風量が強く熱量の少ないタイプのドライヤーもオススメです。
髪が絡まりやすくなるので、上から下へ風を当てて乾かすのがベストです。

③水(摩擦)

もう一つ、毛髪ダメージの大きな要因は”水”です。
水によって毛髪を形作る”水素結合”が切れてしまうと、摩擦ダメージをもろに受けてしまうのです。
トリートメント中のブラッシングはよく見かけますが、NGですよ!

水素結合水が乾けば元に戻る結合なので、摩擦さえ避けられれば大きなダメージになることはありません。

毛髪の結合については、別記事をご参照ください!(準備中)

コルテックスのダメージ要因
  • パーマ・カラーリング等によるアルカリ剤によるCMC溶解
  • アイロン等による100℃以上の熱処理
  • 水に濡れた状態でのブラッシングなどによる摩擦

2-4.キューティクルの構造とダメージ要因

海苔巻きの海苔・キューティクル!一番よく聞く言葉かもしれませんね。
イメージ通り、メデュラ・コルテックスを取り囲んで包み込む役割をしています。

硬いたんぱく質からできていて、軟毛で5層、硬毛で8層程度にも重なっていると言われています。

毛髪断面とキューティクル構造の模式図https://www.hoyu.co.jp/corporate/news/news/266.htmlより引用

毛の根元毛先キューティクルの様子は大分異なっていて
根本は緻密な層を形成しているのにも関わらず、
毛先、特にダメージを受けていると鱗がばさばさに広がっていたり、
なくなってコルテックスがむき出しになっていることもあります。

キューティクル 花王

https://www.kao.com/jp/haircare/hair/3-2/より引用

とはいえ、根元ではぴったり毛に沿っているキューティクルが、何故こんなに広がってしまうのでしょうか?

ここで再登場するのが、CMCです!
コルテックスを取り囲んでいた、タイ米の皮みたいなやつです。

キューティクル一枚の断面をよーく見てみると、8層構造を形成していて、
それぞれ硬質の異なる層から成っています。

キューティクル デミ
https://www.demi.nicca.co.jp/salonsupport/beauty1_detail_06.htmlより引用

キューティクル一枚一枚の間には、またCMCが存在していて、これがキューティクル同士の接着剤の役割をしてくれているのです。

このCMCが剥がれてしまうと、キューティクルが剥がれ易くなってしまうわけです。

また、キューティクルの最外層18-MEA(18-メチルエイコサン酸)という成分が取り囲んでいて、
髪全体の1%にしか過ぎないものの、油リッチな性質をしているため、水の侵入を防ぐのに役立っています。

ところが、このMEAは紫外線やヘアカラーで容易に失われてしまうのだそうです。
特に、ヘアカラーでは80%が流出する上に、MEAをトリートメント成分として配合しても、定着しないんだとか。

ヘアケアにおいてもUVケアが重要であることは間違いないのですが、
毛髪に対する紫外線防御指数の測定法が確立されていないため、いわゆる”日焼け止め”を標榜できる商品が無いのが現状ですが、
確実にダメージを与えるものなので、スプレータイプのサンスクリーン剤などでしっかりケアしてあげましょう。

 

また、キューティクル1枚の長さ加齢によって21%も減少することが報告されています。(1)
それに従い層の厚さも約15%減少するのだとか。

キューティクルの接着面積が小さくなることで、バサバサと浮いてしまい手触りや光沢が低下。
また内部成分が流出しやすくなり、切れ毛や枝毛の原因となってしまいます。

キューティクルのダメージ要因
  • パーマ・カラーリング等によるアルカリ剤によるCMC溶解
  • パーマ・カラーリング等によるアルカリ剤、紫外線による18-MEA流出
  • 加齢によるキューティクルの収縮

3.まとめ

以上、複雑な毛髪構造と、構造から視た毛髪ダメージの要因についてまとめました。

毛髪構造のまとめ
  • 毛髪は真皮にある毛根で作られ、皮表まで押し出される
  • 毛髪はメデュラ・コルテックス・キューティクルの三層構造
  • 主なダメージ要因は化学的処理・摩擦・熱・加齢

具体的なダメージ対策はこちらの記事にまとめましたので、是非ご覧ください!

『毛髪のダメージ要因』と『ヘアケアの基本6ヵ条』!~高級トリートメントをする前に~

毛髪は、調べてみると詳細についてまとめているサイトがかなり多く、お肌よりも信憑性のあるものが多いですね^0^
生きた細胞が殆どを占める肌よりも、死んだ細胞の集合体である髪の方が、研究がしやすいのでしょうね。

カタカナ語が多くて難しかったかもしれませんが、気になるワードを見つけて調べてみると、理解がとっても深まりますよ!

ビューティサイエンスセミナーでは、新製品発表会へ引っ張りだこの岡部さんならではのヘアケア新技術の動向も聞けます!

ビューティサイエンスセミナーはテーマを変えて開催されているので、興味のある方はお申込みしてみてくださいね♪

参考
1)ホーユー株式会社(2011)「加齢によりキューティクルの長さが21%減少 ホーユーの新技法により毛髪のキューティクル層の構造解析に成功」, <https://www.hoyu.co.jp/corporate/news/news/266.html> 2020年5月22日アクセス.
2)花王株式会社「髪の知識 高温加熱の影響」, <https://www.kao.com/jp/haircare/hair/3-7/> 2020年5月22日アクセス.
3)毛髪生活総合研究所「毛髪の熱変性」, <http://www.iikami.com/kamikagaku36.htm/> 2020年5月22日アクセス.

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