今日は、日本化粧品技術者会主催の学術講演会に参加してきました☆彡
備忘録に、簡単にレポートさせて頂きます^_^
第一講は
「化粧品市場の現状分析と未来のトレンド予測」
化粧品に限らず、食品やアパレル等においてマーケティング理論とトレンド分析の知見に長けた
株式会社ビューティブレーン 代表取締役 廣瀬知砂子氏による講演
第二講は
「遺伝子組換え農作物の現状と遺伝子組換えカイコ研究の最前線」
農研機構 生物機能利用研究部門 上級研究員である四方雅仁氏、立松謙一郎氏のご講演
お二人とも輝かしい経歴を持たれる研究者で、
異分野で難しい内容にも関わらず、興味深く、めちゃめちゃわかりやすかったです!!!!!!
【化粧品市場の現状分析と未来のトレンド予測】
国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる「2025年問題」を抱えている日本ですが、
狙うべき市場は”高齢者市場”ではなく、”若者市場”!!
確かに、高齢者は増えていくものの、
「大人ガーリー」「ママガーリー」などというような言葉に表されているように、
ガールを卒業したと思われる年齢でも、「いつまでも女の子でいいんだ!」と思う女性が増えていき、
その世代はどんどん上がっている傾向にあるそうです。
『80代でも若者市場に参入してくる時代になる』という見解がインパクト大でした!!
また、日本が高齢化市場を狙って40代以上を狙いまくっている間に、「若者市場が韓国に取られちゃった」という事実も目から鱗!
韓国ブームの背景にはそんな事情があったのですね💦
生産年齢人口が多い、つまり若い世代が多い韓国はパワーがあります。
とはいえ、韓国はこれから高齢化社会に向かっていく国。
同じ失敗をしないために、ASEANマーケットに対し国ぐるみで参入を目指す必要がありそうです。
そして、韓国はこれを実施しつつある….
「ASEAN諸国と、医薬品や医薬部外品に関する規制の統一などについての合意を目指す」と発表したそう!
スピード感のある韓国勢に負けないよう、日本も頑張らなければいけません!
がんばれ、NIPPON!!!
【遺伝子組換え農作物の現状と遺伝子組換えカイコ研究の最前線】
理系の私には、こちらの内容は大分刺さりました(笑)
我々人間の感覚としては、”未知なものは怖い”ので、
「よくわからない遺伝子組み換えが怖い」気持ちはよくわかります!
私も交配合でさえ抵抗感あったので、”DNAをいじる”って、”神の領域”のように感じるんですね。
しなしながら、一般消費者にとって「界面活性剤怖い」みたいな感覚と同じで、
私も「遺伝子組み換え怖い」になっていたことに気付きました!
遺伝子は”コード”のようなものを持っていて、
”A”,”T”, ”G”,”C”何れかの記号がある順番で並べられています。
ATGCGCTATACCGT………みたいにw
めちゃめちゃ長いです!
そのながーーーーーーーーーーーーいコードの”一文字”でも違うと、違うものになってしまうのです!
例えば、イネのDNAコードを一文字だけ変えてあげると、短くなって倒れにくくなり、生産性を上げることができる訳です。
これまで、米にせよ、トマトにせよ、私たちの食べている食物は殆ど品種改良されたものです。
生産性を上げたり、味を良くしたりすることで、美味しい食物が安価に購入できるのです。
長い歴史の中で、人間は”交配合”といって、種類の違うものを配合させることによって品種改良してきました。
例えば、
「味が良くて病気に弱いトマト」と
「味が悪くて病気に強いトマト」を配合すると、
メンデルの遺伝の法則に則って新種が誕生するため、目的の配合種を得るまでに10年以上かかってしまうのだそうです。
ところが、遺伝子組換えであれば、
「病気に弱い」遺伝子を「病気に強い」遺伝子に変えてあげるだけで、
「味が良くて病気に強いトマト」を効率よく生産することができるのです!!
また、遺伝子組換えの素晴らしい点は、”異種の生物を組み合わせることができること”
全ての生物がDNAを持っていることを利用しています。
例えば、青い色素を作ることができないカーネーションは、どれだけ交配させたとしても、決して青を作ることはできません。
ところが、他の青いお花から、”青色たんぱく質を作るDNA”を取ってきて注入するだけで、
青いカーネーションを作ることができるのです^^
そして、我々が食しているトウモロコシの92%は遺伝子組み換え食品だそうです(^^;)
もう絶対口にしてますが、そのことによる人体への影響は報告されたことがありません。
何故かというと、遺伝子組み換えによって機能が変わるメカニズムが明確で、安全性評価がしっかりされているからです。
例えば、よく心配されることが
「虫が食べると死んじゃう遺伝子組換トウモロコシを人間が食べても大丈夫?」
ということなのですが、大丈夫だそうです。
遺伝子組換によって特異的に出現させたBtタンパク質は、人の胃酸でバラバラに分解されます。
大して、虫の消化管はアルカリ性なので、分解しきれずにタンパク質より少し小さなペプチドになります。
虫の消化管粘膜はペプチド受容体を持っているため、ペプチドがくっついて消化管が壊れ、死んでしまうのです🐛
人間の消化液は酸性、と虫はアルカリ性と、基本的に消化系が異なるところに、着目したのですね!
第二講後半はあの【カイコ】についてのお話だったのですが、
カイコの開きのような画像があったりして、なかなかショッキングでした笑
カイコは昔育てていたことがありますが、本当にみるみる成長するんですよね!
彼らはたった1か月で卵から成虫に成長し、繭を作る直前では、孵化時と比べて1万倍の体重になるのだそう(笑)
桑の葉を20g食べるだけで5gのカイコが0.5gのタンパク質を生成します。
めちゃめちゃタンパク質の生産効率が良いです!!!
こんな生物、他にいないそう。
そして、古くから行われてきたカイコの飼育技術は確立されていて、
1m2当たり1万頭もの高密度飼育が可能。
幼虫は移動距離少ないし、成虫は飛べないので逃げないし、
桑の葉か人工飼料飼育が可能なので超低コスト!
このカイコの遺伝子組み換え技術は、日本のお家芸なんだそう。
(『蚕業革命(さんぎょうかくめい)』と言っていました爆笑)
カイコの遺伝子組み換えで蛍光タンパク質を作れば光るドレスが作れたり、
セリシンという水溶性タンパク質を多く作れるようにすれば、セリシン高配合の化粧品が作れて、
既に実用化されています!
先日、京都大学 本庶佑先生のノーベル賞受賞で話題となった、ガン治療薬の「オプジーボ」は、遺伝子組み換えタンパク質を利用したバイオ医薬品なのです。
このように、遺伝子組み換え技術は多様な機能性を発現して、意外と身近なところで積極的に利用されています。
色々なものは勉強すれば怖くなくなってきますよね。
それでも遺伝子組換え嫌いな皆さんに、心を揺さぶる朗報です!
なんと、食べるだけで花粉症が治るお米が開発されているのだそうです…..!!!!!!
メカニズムは近年取り組まれている舌下治療法と同様で、アレルゲンを毎日少しずつ経口摂取することで、減感作させていく方法です。
舌下治療では、アレルゲンそのものを滴下するためにアナフィラキシーショックが起こってしまう可能性がありますが、
遺伝子組換え花粉症米の場合は、副作用が起きる遺伝子を除去しているため、安全性も高いのだそう!
花粉症が超ツライ方、遺伝子組み換えを好きになってください笑
あと5年くらい経てば、市場に降りてくるそうです。
ありがとう、遺伝子組換え(笑)
その時を心待ちにしております…!
ちなみに、今日の講演はなんと”無料”でした💦
(技術者会の年会費は払っていますが、高くないです)
この内容の濃さで、驚きです!
日本の化粧品業界って、こうやって業界ぐるみで切磋琢磨しているからこそ、
高い技術力を維持できるんですね(;;)
素晴らしい講演会に感謝✨
益々学びを深められた半日でした^_^