今日は、ビューティサイエンティスト 岡部美代治さんによる
ビューティサイエンスセミナー【皮膚常在菌の化粧品科学】 に参加して参りました❗️
実は、私は生物分野には然程強くなく😓
学部は生命物質工学科出身ではあるのですが、物理や化学の方が得意なのです😂
加えて流行にも然程興味がないので、美肌菌ブームに完全に置いていかれていた訳です(^_^;)
今日のセミナーを聞いての印象は、
美肌菌については「研究課題がたくさん!」
今の美肌菌への期待はグリセリン産生がメインなようですが、
「グリセリンを塗ればいいんじゃないの…?」と思ってしまい(・ω・ヽ)
皮膚常在菌の生態バランスがあるので、
美肌菌だけ増やしてもエサ(皮脂など)が無くて死んじゃうんじゃないかなとか。
いろいろ疑問はつきません!
ただ、様々な企業の開発データを見ると、
確かに肌はいい方向(水分量UP, 保湿改善の実感UPなど)に振れてそうなので、
データが増えれば、説得力のある作用メカニズムが明らかになるのだろうと思います。
今後の動向に期待(^^)
という訳で、前置きが長くなりましたが、
皮膚常在菌って何?というところをお話しようと思います。
◯皮膚常在菌って?
この世界には、ものすごい数の微生物がいます!
なんと、生命体の3分の1が微生物とも言われているそうですよ(◎_◎;)
その中でも細菌は核を持たない1-10μm程度の微小な生物で、
細胞壁や細胞膜で覆われた構造をしています。
その中でも皮膚常在菌は健康なヒトの皮膚表面に通常に存在する菌を指します。
面白いことに、その種類は”多種多様”で、
分布も種類も、部位によって異なれば、ヒトによっても異なるのだそう。
確かなのは、その人との共生関係にあって、
皮膚常在菌のおかげで常在菌以外の微生物の増殖を抑制することができるし、
皮膚常在菌は角層の皮脂やタンパク質、細胞間脂質、アミノ酸などなどを食べて生きているということです。
皮膚常在菌はヒトによって違うものの、あるバランスを保って存在しているのです。
◯アクネ菌は悪い菌なの?
以上のことからわかるのは、皮膚常在菌のバランスが崩れると、
その他微生物の増殖リスクが増えるということです。
例えば、ニキビ菌として有名なアクネ菌は、皮脂をグリセリンと遊離脂肪酸に分解し、
遊離脂肪酸が刺激となりニキビが発生ことが知られています。
グリセリンは、有名な保湿成分ですね(^^)
ところで、美肌菌として有名な表皮ブドウ球菌も、皮脂を分解してグリセリンと遊離脂肪酸を生成します。
そう、アクネ菌と同じです(^^;)
アクネ菌の特徴は”嫌気性菌”といって、酸素が無い環境で活発になります。
角質肥厚などでつまってしまった毛穴内は、アクネ菌にとっての天地!
角質(タンパク質)に皮脂(油)たっぷりで酸素が少ない環境は、
人間で言うと、「霜降り肉が目の前にたくさんあって、空調は超最適!」みたいな状態。
超食べまくって、繁殖し放題で、グリセリンも遊離脂肪酸も大放出です。
遊離脂肪酸を通常量生成する分には、肌のpHを弱酸性に保つのに必要であったりと役割があるのですが、
ある量を越えると肌刺激となり、炎症してしまうのです。
これがニキビ
アクネ菌も、皮膚の上にのっかっている分には特に悪い菌ではないのですね(^^)
悪いのは、異常増殖した状態なのです。
◯お肌は弱酸性だけど…
「お肌は実は、弱酸性」というフレーズを知っていますか?
弱酸性洗浄料で有名な花王 ビオレさんのCMです。
これまで当然のように使っていた石鹸が弱アルカリ性で、実はお肌に優しくなかった!という
衝撃な印象をつけられた方も多いのではないでしょうか。
確かに、お肌はアルカリ性に振れると肌内の酵素がうまく働かなくなったりバリア機能が低下したりします。
が、
先ほど述べてしまいましたが、実はアルカリ性石鹸で洗っても大丈夫。
皮膚常在菌が遊離脂肪酸を生成することで、やがて健常なpHである弱酸性に戻ります。
これをアルカリ中和能といいます。
加齢によってpHがアルカリ側によったり(もちろん弱酸性ですが!)
なんらかの原因でお肌が弱くなっている方は、
中和に要する時間も長く、その間バリア機能が低下してしまうため、
お肌状態を見ながら洗浄の仕方に気をつけた方がいいかもしれません。
まだまだわからないことの多い皮膚常在菌ですが、
私たちの生体活動とは切っても切れないことは確かです。
皮膚の状態を知ることは、美肌への第一歩!
お肌の仕組みが他生物にまで及ぶなんて、美容って本当に面白いですね♪(^0^)